一般的な意味での寄附金は贈与や無償供与を意味しますが、国外関連者寄附金となると、国外関連者に対して、本来は対価を受け取るべき取引で無償供与したと見なされることを意味します。
例えば、日本親会社のスタッフが海外子会社に出張して、現地で業務サポートをしたとします。スタッフ自身は日本親会社から出張手当を受け取るとしても、日本親会社は海外子会社に対して適切な役務提供の対価を要求しないと、無償で役務を提供したことによりその対価分が国外関連者寄附金に該当するとされてしまうのです。
法人にとって一般的な寄附金であれば損金として処理できるところ、国外関連者寄附金の場合は損金不算入で全額課税対象になってしまう点が大きな注意ポイント。国外関連取引で、グループ企業だからと雑な取引をしていると、寄付をしたという認識はなくとも国外関連者寄附金として課税されるリスク要因になるわけです。
日本親会社と海外子会社の関係を例として、国外関連者寄附金として認定されやすいケースを挙げてみましょう。
国外関連取引において適切な対価の支払いがなければ税務当局から指摘を受けるわけですが、有形・無形資産や役務を無償で提供した場合、国外関連者寄附金課税が課されるのか、移転価格課税が課されるのかは、大いに気になるところ。必ずしも明確な適用範囲があるわけではないようですが、専門家の見解では、契約や請求がない場合は国外関連者寄附金課税、契約や請求がある場合は移転価格課税が適用されるといった意見が見受けられます。
国外関連者寄附金課税と移転価格課税の違いについて、項目ごとに整理してみましょう。
項目 | 国外関連者寄附金課税 | 移転価格課税 |
---|---|---|
算定基準 | 時価 | 独立企業間価格 |
手続き | 推定課税、同種事業者への質問検査権、納税猶予制度 | 規定なし |
更生請求期間 | 5年 | 6年 |
事前確認制度 | あり | なし |
相互協議 | 租税条約締結国間であり | なし |
このように、国外関連者寄附金課税は移転価格課税よりも全般的に厳しい制度といえるもの。贈与や無償供与が寄附金額に相当しないと判断されるのは相当な理由があると認められた場合のみで、国外関連者寄附金として課税されれば億単位の経営リスクとなることもあるほど。つまり、相当な理由があることを当局に納得させられるような対策が必要となります。
移転価格及び国外関連取引に精通する押方移転価格会計事務所では、コンサルティングサービスとして「海外子会社への寄附金認定防止対策」も手掛けています。国外関連者寄附金課税として認定されるリスクがある海外子会社への出張旅費や海外出向者に対する給与負担金。そしてグループ企業間の役務提供といった項目をはじめとして、それぞれ対策をサポートしてくれます。
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