国税庁発表資料の「移転価格の調査状況」には2005年から2018年までの「移転価格調査状況」と「国税当局の移転価格担当者数」が掲載されているので、それらを元に傾向を整理してみましょう。
なお、背景としては経済のグローバル化が進んだこともあり、国税庁は調査スタッフの増員を促進、大企業限定だった移転価格調査を中小企業も対象とするようになっていたという状況があります。2017年4月1日以降、同時文書化義務が適用されるようになったことも影響しているでしょう。
移転価格調査の件数は、2005年が119件で2018年が257件。単純計算で2倍以上の調査件数となっています。直線的な右肩上がりで増えているわけではなく、年単位で増えたり減ったりしてはいるのですが、2010年までは150件を超えていなかったのが、2011年以降は一番少ない2016年でも169件と、年150件を下回ることはなくなっています。
なお、資料の期間における金額は2005年の2,836億円が最高で、2015年の137億円が最低。金額は件数と関連性があるような推移には見えません。
参照元:【書籍】『移転価格税制20問20答【実践編】』辻・本郷 税理士法人 著・編(東峰書房)2021年7月27日発行
2005年当時、国税庁の移転価格課税担当者数は100人。移転価格以外の国際税務担当官が135人でした。それが翌2006年には移転価格担当者数194人、それ以外が322人と急増、2007年に移転価格担当者数244人となり、以降2018年の249人まで250人前後で推移しています。
参照元:【書籍】『移転価格税制20問20答【実践編】』辻・本郷 税理士法人 著・編(東峰書房)2021年7月27日発行
1990年6月8日の「週刊税務通信」の「増えつつある税務署所管法人の移転価格課税リスク」という記事中、移転価格調査の着目点に触れているので紹介します。
国税庁の移転価格事務運営要領1-2と1-3に記載されているのは以下の3つの観点。
引用元:【PDF】週刊税務通信令和2年6月8日号「増えつつある税務署所管法人の移転価格課税リスク」
(https://www.pwc.com/jp/ja/tax-articles/assets/zt-2020-06.pdf)
これらを総合判断して、調査官が所得移転の蓋然性を判断するというわけです。
調査官に所得移転の蓋然性があると判断されてしまうと中間意見が出され、所得移転金額の算定→移転価格課税をされる可能性大。中でもポイントとなりやすいのが海外子会社の利益水準で、利益率が高い場合は要注意。国内親会社以外との取引によって高収益化しているというエビデンスをスピーディーに提示するといった対応が必要です。
税務調査の対象となるのは、国内親会社か海外子会社か、あるいは両方というケースもあり得ます。
調査が入りやすい例として挙げられるのが、国内親会社から海外子会社に生産拠点を移したケース。海外子会社からロイヤリティの支払いを受けていない、あるいは支払いがあっても海外子会社の利益率が高いような場合、国内親会社が調査対象。
一方、海外子会社の製品をほとんど国内親会社が購入しているのに海外子会社の赤字が続いていたら、海外子会社が調査対象。同様のパターンで、海外子会社の営業利益が大きく変動するようなケースは、国内親会社と海外子会社両方が調査対象となります。
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