移転価格税制において問題となるのは、国外関連取引の価格に経済合理性があって適正なのかという点。その判断基準となるのが独立企業間価格であり、国内親会社~海外子会社間をはじめとする国外関連取引が独立企業間価格で行われていれば、移転価格のリスク回避ができるわけです。
つまり、独立企業間価格を算定しておけば企業側で更生リスクを検証することができますし、グループ企業全体に周知することで実際の取引価格にも反映できます。
独立企業間価格を算定するにあたって、何をどのように検討すればいいか参考になる資料が国税庁公式HP上で公開されています。PDF形式の『Ⅱ 移転価格税制の適用におけるポイント』というドキュメントに「5 独立企業間価格の算定方法に関する検討」項目があるので、以下に引用します。
独立企業間価格の算定方法については、法令で定められている方法(独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法、利益分割法及び取引単位営業利益法など)のうち、国外関連取引の内容及び国外関連取引の当事者が果たす機能などを勘案して、独立企業間価格を算定するための適切な方法を選定する必要があります。
その際には、棚卸資産の種類、取引当事者の果たす機能、取引規模の差異などの諸要素のほか、次の事項を検討します。
再販売価格基準法や取引単位営業利益法など、比較対象取引に基づいて独立企業間価格を算定する場合、検証対象となる当事者を納税者と国外関連者のどちらにするのか決める必要がありますが、通常は、比較可能性が十分な比較対象取引を選定する観点から、より単純な機能を果たすと認められる法人を検証対象の当事者とします。
比較対象取引の利益指標に基づいて独立企業間価格を算定する場合、売上高売上総利益率、売上高営業利益率、総費用営業利益率及び営業費用売上総利益率(ベリー比)の中から、適切な利益指標を選定します。
例えば、取引単位営業利益法を適用する場合、販売会社(国外関連者から仕入れた製品を第三者に販売する会社)を検証するのであれば売上高営業利益率が、仲介業者や単純な役務提供業者を検証するのであれば営業費用売上総利益率が一般的には適切な利益指標と考えられています。
引用元:国税庁公式HP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/itenkakakuzeisei/pdf/takokuseki_02.pdf)
KPMG税理士法人の「移転価格リスク分析」サービスでは、算定方法の検討までの流れがわかるので、参考として紹介します。まずは、「移転価格リスク分析」全体の流れは以下のようになります。
リスク評価フェーズ
実行フェーズ
この中で、経済分析を行う工程で移転価格の算定方法を検討します。当該国の移転価格税制に合うように選定して、その方法によって移転価格を算定することで、更生リスクを数量化することもできます。
参照元: KPMG税理士法人公式HP(https://assets.kpmg/content/dam/kpmg/pdf/2016/03/jp-analysis-risk.pdf)
2022年3月14日調査時点において、「移転価格 コンサル」でGoogle検索した際、50位までに公式サイトが表示される税理士事務所(法人)や会計事務所の中から、どのような移転価格(コンサル)対応をしてくれるのか明記している20法人を選出。移転価格文書化への対応と移転価格税制への対応に対するニーズ別に3つのコンサルティングサービスを紹介しています。
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