文字通り、棚卸を必要とする資産に関する取引で、製品や商品はもちろん製造業界なら半製品や原材料なども含めた在庫を棚卸資産といいます。在庫の物理的なボリュームによって、国内法人~国外関連者間の取引規模も大きくなるケースが珍しくもなく、移転価格の指摘をされた場合、高額の追徴税額になることが考えられるので、十分な注意が必要です。
棚卸資産取引の課税に関するトラブル回避対策の一環として、製造業や商社といった業種では、ローカルファイル作成が大きな意味を持つともいえるでしょう。
移転価格に関連する役務提供としては、グループ企業である国内法人と国外関係者との間におけるサービス提供を意味します。わかりやすいパターンのひとつが、国内法人のスタッフが国外関係者の現地拠点に出張して行う業務サポート。技術指導をしたり、営業支援をするのはよくあることでしょう。
このサービス提供の対価が、独立企業間価格と比べて安価な金額となっていると、安価とした分の所得が国外関係者への所得移転とみなされてしまうこともあります。
国内法人と、国外関係者となる海外のグループとの金銭の貸借や債務保証が、金銭消費貸借取引に該当します。
例えば、国内親会社から海外子会社に融資をした場合、独立企業間価格に相当する料率で金利を受け取るようにする必要があります。債務保証でいえば、海外子会社が現地の銀行など金融機関から融資を受けるにあたって、国内親会社が債務保証する場合、債務保証料を受け取るようにしないと、これも一種の移転価格とみなされる可能性があります。
2019年に改正された税制の中で、無形資産は下記のように定義されています。
「法人が有する資産のうち、有形資産及び金融資産(現金、預貯金、有価証券等)以外の資産で、独立の事業者間で通常の取引の条件に従って譲渡・貸付等が行われたとした場合に対価の支払が行われるべきもの」
無形といっても役務に分類される人的稼働ではなく、ロイヤリティが発生するような無形資産を提供している場合、その使用料を権利収入として請求しないと、移転価格とされるケースもあります。
上で触れた取引には入らないもので、その他に分類されるケースの例を挙げると、国内法人が所有していた中古の固定資産の国外関係者に対する売却などが該当します。
特定分野の工業設備などは中古品の相場といってもケースバイケースとしかいえない側面もありますし、簿価以上ならば問題なしと言及できるものでもないのが実状。価値のある固定資産であるならば、専門業者の見積もりをとって売却価格の客観性を担保するといった対応もしておくといいでしょう。
国内法人と海外子会社との直接取引ではなく、間に第三者を介した取引であっても、租税特別措置法第66条の4第5項において一定の場合に「国外関連取引とみなす」と規定されています。その規定が租税特別措置法施工令39条の12第9項で、以下の2つのケースが該当されます。
なお、これは販売だけでなく譲渡や貸付などの方法も含めて移転や提供が行われる場合も同様とされます。
参照元:【書籍】『移転価格税制20問20答【実践編】』辻・本郷 税理士法人 著・編(東峰書房)2021年7月27日発行
2022年3月14日調査時点において、「移転価格 コンサル」でGoogle検索した際、50位までに公式サイトが表示される税理士事務所(法人)や会計事務所の中から、どのような移転価格(コンサル)対応をしてくれるのか明記している20法人を選出。移転価格文書化への対応と移転価格税制への対応に対するニーズ別に3つのコンサルティングサービスを紹介しています。
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