独立価格比準法(CUP法)とは、移転価格税制を考える上で重要な独立企業間価格を算定するための基本三法の1つであり、一般的に移転価格算定方法として最も直接的な方法と考えられています。このページでは、独立価格比準法(CUP法)についてまとめました。
独立価格比準法(CUP法)とは、国内において独立企業間価格を算定するための「基本三法」として考えられている計算方法であり、移転価格を算定するシステムとして重要な意味を持っています。
具体的には、独立価格比準法は対象となる法人と、国外関連者との取引において、棚卸資産と同種の棚卸資産を第三者(非関連者)が同条件で売買した場合、その取引の対価となる金額や相当額をもって独立企業間価格とする算定法です。
つまり、対象法人とは関係のない非関連者間の取引価格と、関連者との取引価格とを比較して、独立企業間価格の正当性などを検証していることがポイントです。
内部CUPとは、日本の親会社となる法人が対象の国外関連者を相手にしているのではなく、第三者との間で同種の条件によって取引している際の取引価格を指します。なお、それに対して公開市場からの情報や外部の第三者同士の取引価格などにもとづいて確認された金額が外部CUPです。
内部CUPと外部CUPはそれぞれ独立価格比準法を活用する上で対象になりますが、同じグループ内にある海外子会社との取引に関しては内部CUPとして認められないため注意してください。
独立価格比準法はすでに取引が実行されている内容を比較対象にするため、客観的に考えて根拠として示しやすく、信頼性についても高いと考えられる点が特徴です。最も直接的だからこそ、最も分かりやすい算定法であり、同条件においてすでに認められている取引価格自体を参照するため第三者に対しても説明しやすくなっています。
ただし、そもそも比較対象となる取引について正しく厳選されていることが前提となっています。
独立価格比準法は最も分かりやすく、最もシンプルで、最も信頼性についても論拠を示せる算定法と考えられますが、根本的な課題として「適正な比較対象取引を見つけることが難しい」という現実も無視できません。
そもそも独立価格比準法を厳正に当てはめようとすれば、取引に関わる関係者の双方の棚卸資産において「同種」であると認められる必要があります。しかし、この同種という条件がネックであり、現実的に自社の取り扱い製品と全く同様、あるいはそれに準じる製品を取引しているケースを探し出すことは容易ではありません。
現実問題として、独立価格比準法を厳格に活用しようと思えばそのハードルは決して低くありません。だからこそ、実際に独立価格比準法を適用できるケースについてあらかじめ把握しておくことが大切です。
例えば外部CUPの場合、そもそも別の会社が自社の製品と全く同じものを取引しているケースは多くないため、現実的には金融商品や農作物といった市場価格がすでに存在されているものが対象です。
内部CUPにおいては、根本的に国外関連者と同種の取引を第三者と行っているケースは少ない上、取引内容や条件に差異があればそれを調整した上で合理的に企業間価格へ反映させなければなりません。
内部CUPを考えるに当たって、国外関連者とほぼ同種の取引を第三者としていたとして、その「ほぼ」に当たる部分を差異と考えることが可能です。
そして企業間価格を適正に算定しようと思えば、その差異について特に価格へ関連するものがあれば、その影響を合理的かつ適正に価格へ反映させる必要があるでしょう。
このような工程を差異調整と呼びます。
全ての差異や条件の違いを調整する必要はありません。調整すべきは国外関連取引の企業間価格の算定に影響することが客観的に明らかと考えられる差異です。
ただし、そもそも差異が大きすぎれば根本的に比較対象取引として合理性に欠けていると判断されるため、あくまでも同種と認められるような取引を比較しなければならないことも重要です。
比較すべき取引を厳選し、その上で調整すべき差異を明確化できれば、改めて以下の観点において差異を調整します。
貿易条件では運賃や保険料相当額を加減したり、決済条件については手形発行から決済までの金利相当額などを加減したりします。また、値引き・割り戻し等については相当額を考慮し、リスクマネジメントにかかる費用などに関しても同様です。
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